幻想水滸伝1 台詞集 第一章

グレッグミンスター2

──門前
カナン

「ようし、おまえらは ここまででいい。
 クレイズさまへは
 おれさまが報告に行く

 おまえらは 家にもどって
 ゆっくり休んでいいぞ。
 ああ、おれさまは
 なんてやさしいんだろう。」

パーン
「ああ、ああ、やさしくて
 なみだが出て来るよ。
 あの野郎 てがらをひとりじめする気だ。」
クレオ

「いいじゃないか パーン。
 あの ていどのてがら、
 いつでもたてられるよ。

 それよりも、わたしはつかれたわ
 早く 家に戻って 休みたいけどね。」

グレミオ
「ぼっちゃん。 ひさしぶりに
 我が家に帰って来たんですから。
 今日はごちそうにしますよ。」
テッド
「やったぜ。
 グレミオさんの料理は
 ピカイチだからなぁ」
カナン
「テッド。
 おまえは おれさまと
 いっしょに来るんだ」
テッド
「ん? 何かな。」
カナン
「なに、たいした事じゃない。
 すぐにすむから
 いっしょに来るんだ。」
テッド

「わかりましたよ。
 ティエル、さきに帰っててくれよ。
 あとから 行くからさ。

 それから、 話すこともあるし・・」

カナン
「いくぞ テッド」
カナン、テッドを連れ立って城へ。
──マクドール邸
パーン
「ふう ひさしぶりの 我が家だ。」
グレミオ
「ぼっちゃん。
 すぐに 食事のしたくをしますからね」
暗転。
──食事の間
ティエル、クレオ、パーンが席に着いている。
雷鳴が轟き、雨音がする。
パーン

「ふーーーーーーっ
 食った、食ったぁ、

 ここのところ ほしにくばかり
 だったからなぁ。
 なんか ひさしぶりに
 人間の食いものを 食った気がするぜ。」

クレオ
「なに 言ってるんだい。
 ハラさえふくらめば なんでもいいくせに」
パーン
「まぁ そりゃそうだ。
 ハハハハハハハハハハハ」
グレミオ入室。
グレミオ
「ぼっちゃん。
 お茶が はいりましたよ。」
ティエル、席を立ちそれぞれに話し掛ける。
クレオ
「ぼっちゃん、
 お父さまがいなくて
 さびしくないですか。」
ティエル
「そんなことはない」 ←
クレオ

「そうですね。
 ぼっちゃんは もう一人前に
 なられましたからね。

 ぼっちゃんの りっぱな姿を
 テオさまに見せて
 あげたいですね。」

「ちょっと・・・さびしい」 ←
クレオ

「そうですか。

 母親がわりというワケにはいきませんが、
 さびしいときには このクレオが・・・」

「クレオがいるから平気さ」 ←
クレオ

「ぼっちゃん!!
 どこで そんな言葉を
 おぼえてきたんですか!

 パーン!
 あんたかい!」

クレオ2
「あめ、 よく降るねぇ。」
パーン

「しかし ぼっちゃん、
 気になりますね。

 いえ、どうも世間では、
 帝国軍のひょうばんが
 あまり良くないみたいですから。」

クレオ
「そうだな。わたしたちが戦った
 継承戦争のころから見れば
 おちたもんだな。」
グレミオ
「クレイズやカナンみたいな
 奴らが のさばっているから、
 ひょうばんがおちるんですよ。」
パーン2
「いつまでクレイズのしたで
 はたらくことに なるんだろう?」
グレミオ

「おそいですね テッドくん。
 用がすんだら すぐ来るって言ってたのに、

 シチューがさめてしまいますね。」

ティエルが玄関へ行くと、テッドが倒れている。
テッド
「う、ううう・・・・・・・」
グレミオが二階から降りて来る。
グレミオ

「ぼっちゃん、 こ、これは・・

 クレオさーーん!!
 パーンさーーーん!!
 手をかしてくださーーい!」

クレオ、パーンが二階から降りて来る。
パーン
「テッドくん!
 どうした、大丈夫か?」
クレオ
「すごい血、それも この傷口は
 ふつうのものじゃない。
 魔法か?」
グレミオ
「なにをしてるんですか。
 まずは中に運ばないと、
 ぼっちゃんも手をかしてください。」
ティエル
「手をかす」 ←
グレミオ

「いいですか、かたに手をかけて

 せーーーーーの。」

「ほっとく」 ←
グレミオ
「ぼっちゃん!
 なにボーーっと
 してるんですか!」
クレオ

「こうふんするんじゃないよ。
 親友がこんなことになったんだ。
 どうようして あたりまえさ。

 わたしが てをかす。
 ぼっちゃん ちょっとどいてください。」

暗転。
──クレオの部屋
ベッドにテッドが寝かされている。
一同、ベッドの周りに。
クレオ

「いったい なにが・・・
 城からもどる道で強盗におそわれた、
 そんなところか?

 それにしては 魔法のきずあと
 というのはおかしいな。」

パーン
「おっ 目をさましたぞ。」
テッド

「う、う、

 ん、

 ティエル・・・こ・・ここは?
 あいつらは・・?
 近衛隊の・・やつらはまだきてないのか?

 た・・たすけてくれティエル。」

グレミオ

「だいじょうぶですよ。
 あんしんしてください。

 おちついたら、
 あわてずに なにがあったか、
 おしえてくれますか?」

テッド
「グ・・グレミオさん・・・・、
 ・・実は・・・・・」
暗転。
──テッドの回想
城内の一室前で、カナンとテッドが待機。
部屋の中にはウィンディとクレイズの姿が。
テッド
「はやくしてくれよ。
 はらがへって
 しょうがないんだ。」
カナン
「だまって待ってろ。
 いまクレイズさまがウィンディさまに
 話を取り次いでいるんだ。」
クレイズ、部屋の外へ出て来る。
クレイズ
「ふん。
 ようし、テッド。
 わたしといっしょに来るんだ。」
テッド
「はいはい」
テッド、クレイズに連れられウィンディの前へ。
クレイズ、入り口近くに待機。
ウィンディ

「ひさしぶりね。 かわいい少年よ。

 300年前と
 とっとも 変わってないじゃないか。
 うらやましいねぇ。」

テッド、一歩引く。
カナン、部屋へ入ってきてクレイズと共に入り口を塞ぐ。
テッド
「おまえは!
 あの時の 女魔法使い!」
ウィンディ

「おや おぼえていてくれたのかい。
 うれしいね。

 もちろんわたしは おまえのことを
 忘れたことなどなかったけど。
 さあ、その右手の紋章、
 こんどこそ 渡してもらうよ。」

テッド、さらに後ろへ下がる。
テッド
「じょうだん言うな!
 こいつは おまえにだけはわたさない!
 おまえにわたすぐらいなら、
テッド、さらに後ろへ下がる。
ウィンディ
「なにをするつもりなの!」
テッド、背を向け右腕を掲げる。
テッド
「呪いの紋章“ソウルイーター”よ、
 その力を示し・・・・」
ウィンディ、一歩前へ。
ウィンディ
「ばかなことはやめなさい。
 こんな所で力を使ったら、
 自分もただですまないわよ!」
ソウルイーターの闇が広がる。
──回想終了
テッド
「ティエル・・・・
 た、たのむ・・・・・」
パーン、ティエルの横へ。
パーン
「おい、テッド。」
グレミオ
「だめです。
 また気を失ってしまいました。」
パーン、皆に背を向ける。
パーン

「どういうことだい。
 どうやら 近衛隊に
 追われているみたいだったが。

 まさかな・・・・」

グレミオ、パーンに掴み掛かる。
グレミオ
「テッド君が
 何かしたって言うんですか!
 そんなワケないじゃないですか!」
パーン
「いや、わからんな。
 クレオ、近衛隊にしらせたほうが
 いいんじゃないか。」
グレミオ、さらにパーンに掴み掛かる。
グレミオ

「なぜです?
 ぼっちゃんの親友が帝国に追われるような
 マネをするはずがありませんよ!

 なんで近衛隊なんかに
 知らせる必要があるんです?
 それじゃあ まるで・・・」

パーン
「しかし、もしもという事がある。
 テオさまがいない時に、
 ヘマをするわけにはいかない。」
クレオ
「ふむ。まあ、
 テッドくんが目をさますまで、
 待とうじゃないか。」
暗転。
パーンだけは部屋の外、扉の前に待機している。
ティエル、それぞれに話し掛ける。
グレミオ
「しんぱいしなくてもだいじょうぶですよ。
 テッドくんが・・・・
 なにか するわけないじゃないですか。」
クレオ
「テッドくんが さっき言ってた
 “ソウルイーター”という名前。
 どこかで 聞いたことがあるような・・」
ティエル、部屋を出てパーンに話し掛ける。
パーン

「ぼっちゃん・・・・・

 テッドくんの
 ねつが下がらないようだし、
 道具屋をたたきおこして、
 くすりを買ってきます。」

パーン、外へ。
ティエル、部屋へと戻る。
グレミオ
「あめ・・・
 やみませんね。」
クレオ
「いやなあめだな。
 さむけがする」
テッド
「う・・うううん・・・」
クレオ
「気がついたみたいだね。」
テッド

「ティエル・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 め・・・めいわく・・・・
 かけちまった・・・みたいだな。」

グレミオ
「そんなことよりも、
 さっきの話は どういうことなんですか?
 “ソウルイーター”というのは?
テッド

「ティエル・・・
 一生のお願いだ・・・。

 お・・おれの・・たのみを・・
 聞いて・・くれるか・・?」

ティエル
「なんだい?テッド」
「いやだ」 ←
テッド
「そう言うなよ・・ ティエル・・
 い・・一生のお願いだ・・・
 聞いてくれ・・・」
ティエル
「なんだい?テッド」
「いやだ」 ←
テッド

「わかったよ・・・

 たしかに・・何回目の
 “一生のお願い”か・・わからないからな。
 でも、これが最後だ・・たのむ・・」

ティエル
「なんだい?テッド」
「いやだ」 ←
テッド
「たのむよ・・ ティエル。
 傷が・・いたむんだ・・・
 あんまり・・じらさないでくれ・・・」
ティエル
「なんだい?テッド」
「いやだ」 ←
テッド
「そう言うなよ・・ ティエル・・
 い・・一生のお願いだ・・・
 聞いてくれ・・・」
 ──以下ループ──
テッド
「ティエル・・・
 おれの・・右手の・・てぶくろを・・
 は・・・はずしてくれ・・」
ティエル、テッドの手袋を外す。
グレミオ
「これは?」
クレオ
「まさか、
 27の真の紋章?」
テッド

「そう・・これは27の真の紋章の一つ・・
 “ソウルイーター”・・・
 ・・呪いの紋章・・

 こいつが全ての・・・はじまり・・
 おれが宮廷魔術師・・
 ウィンディに・・狙われたのも・・
 ・・こいつのせいさ・・・」

グレミオ
「ウィンディさまが
 そんなことを?」
テッド

「も・・目的はわからないが・・
 あの女魔法使いは・・・
 この紋章を・・狙っている・・

 だからおれは・・300年の間・・
 世界を・・ほうろうし・・
 に・・・逃げつづける
 ・・はめになった・・・

 でも、こんなところで・・見つかるとは・・
 ・・清風山で・・紋章の力を使ったのが
 失敗のもとさ・・」

クレオ
「清風山のクィーンアントを
 ふきとばしたのは この紋章の力か。」
テッド

「ティエル・・・・・・・・

 おれは・・この傷じゃ・・
 ・・あの女魔法使いから・・・
 逃げきることは・・・
 で・・・できないだろう・・・

 ゆ・・・友情にすがって・・
 こんな事言うのは・・・
 あ・・あつかましいこと・・・
 かもしれないし・・・

 と・・・友に・・不幸を
 ・・もたらすと・・知っていて
 そ・・・それをするのも・・
 た・正しいことじゃ・・ない・・

 だけど・・・・でも・・・・
 お、おれには おまえしかいないんだ!
 “一生のお願い”だ!
 この紋章を守ってくれ!

 こ・・この呪いの紋章を・・
 ウィンディに・・渡すわけにはいかない。
 だ、だから、おまえにたのむしかない・・
 お願いだ、この紋章を受け取ってくれ・・」

ティエル
「わかった 安心しろテッド」
「いやだ」 ←
テッド
「おまえ・・だけが・・
 たよりなんだ・・」
ティエル
「わかった 安心しろテッド」
「いやだ」 ←
テッド
「おれの・・300年の苦しみを・・
 ムダにしないでくれ・・・」
ティエル
「わかった 安心しろテッド」
「いやだ」 ←
テッド

「ティエル。
 おれには・・友と・・よべるのは
 おまえしかいないんだ・・

 ・・た・・たのむ・・・・」

テッド
「おまえ・・だけが・・
 たよりなんだ・・」
──以下ループ──
テッド

「す、すまない・・ティエル。

 この紋章は・・おまえに・・
 不幸を・・もたらすかもしれない・・
 その時はおれを・・うらんでくれていい。

 でも・・ウィンディにだけは・・
 そ・・それを・・わたさないでくれ。
 右手を・・
 ティエル・・・」

ティエル、ベッドの側に膝を付く。
光が降りて来て紋章の継承が終わる。
ティエル、立ち上がる。
テッド
「これで・・・
 おれも・・・
 安心して・・」
玄関の方から大きな物音がする。
グレミオ
「な、なんですか?」
クレオ
「げんかんのほうだ。
 ついてこい グレミオ」
グレミオ
「は、はい」
クレオ、グレミオを連れ立って玄関へ。
ティエル、テッドに話し掛ける。
テッド

「ティエル・・・
 おれは300年の間・・一度もゆっくりと
 ねむったことが・・なかった・・・

 これで、はじめて・・
 ゆっくりと・・・・・・・
 ねむれそうだよ・・・・・・・・・」

テッド2
「・・・・・・・・・・・・・・」
ティエル、玄関へ。
クレイズ、パーンとカナンその他兵士を引き連れている。
クレイズ

「ふん、
 マクドール家のぼっちゃんも
 いらっしゃいましたね。

 おとなしくテッドを
 ひきわたしてもらいましょうか。
 かれがここにいることは わかっています。

 帝国に忠実なパーン君が、
 おしえてくれましたからね。」

クレオ
「パーン! おまえ!」
グレミオ、一歩前へ。
グレミオ
「なぜです パーンさん!」
パーン、背を向ける。
パーン

「テオさまのいない時に なにかあれば、
 テオさまに めいわくがかかる。

 おれには そんなマネはできない
 テオさまの信用を
 うらぎるようなマネは・・・
 わかってくれ。」

クレイズ
「さあ、テッドを引きずり出すんだ。」
兵士、前へ。
クレオ、前へ。
クレオ

「そうはさせんぞ クレイズ。

 いかに近衛隊隊長といえども、
 テオさまの家に理由なく
 入れるわけにはいかない。」

グレミオ、前へ。
グレミオ
「そうです。
 この斧にちかって、
 ここから先は通しません。」
テッド、ゆっくりと部屋から出て玄関へ。
テッド
「ま・・・まってくれ・・」
クレイズ
「ふん。
 おとなしく つかまる気に
 なったかな。」
テッド、ティエルに耳打ち。
テッド

「ティエル・・・やつらは・・
 ま・・まだおれが“ソウルイーター”を
 持っていると・・思っている・・

 だから・・・・
 ・・おれがオトリになる・・
 そのあいだに・・
 ・・・・逃げてくれ・・」

グレミオ
「それじゃあ テッド君は・・・」
ティエル
「いやだ」 ←
テッド
「だいじょうぶだ・・・
 あ・・・安心しろよティエル。
 おれも・・逃げ切ってみせる・・」
ティエル
「いやだ」 ←
「わかった」
テッド
「おれは・・・おまえを信じている・・
 だ・・だから・・・
 おまえも・・おれを信じてくれ・・・」
ティエル
「いやだ」 ←
「わかった」
テッド
「おれを・・かなしませるなよ・・
 おまえなら・・おれの気持ちが・・・
 わかるはずだ・・・・」
テッド
「だいじょうぶだ・・・
 あ・・・安心しろよティエル。
 おれも・・逃げ切ってみせる・・」
──以下ループ──
「わかった」 ←
グレミオ
「ぼっちゃん!
 テッドくんは あのケガなんですよ、
 逃げ切れるはずがありませんよ。」
クレオ

「言うな グレミオ。
 ぼっちゃんにも わかっているはずさ。

 テッド君の気持ちをムダにしないためには
 ここは逃げるしかない。
 そうでしょう ぼっちゃん。」

テッド
「は・・はやく行け!」
グレミオ
「わかりました。
 ぼっちゃん 調理場の裏口から
 にげましょう。」
一同、調理場の裏口から脱出。
テッド

「あ・・・ありがとよ・・
 ・・ティエル・・・

 300年の間で・・・
 おまえが・・・・
 ・・おまえだけが・・・・
 ・・・ただ一人の友達だったぜ・・・」

暗転。
ティエル、雨の降る街中を逃げる。
──宿屋
マリー
「まあ、まあ、まあ、まあ、」
マリー、ティエルの元へ駆け寄って来る。
マリー
「だれかと思えば、マクドールさんとこの
 ぼっちゃんじゃないかい?
 いったい・・・・ とにかくこっちへ!」
暗転。
──三階の一室
マリー

「まったく なにがあったんだい?
 帝国の兵士たちは はしりまわっているし
 あんたらはぬれねずみで 逃げて来るし。

 ・・・・・・・・・・・?

 まあ いいさ。
 はなせないワケがあるんだろう。
 だいじょうぶ、しばらくは ここにいな。
 宿代はツケに しといてあげるよ。」

グレミオ
「かたじけ ありません。」
マリー、階下へ。
ティエル、それぞれに話し掛ける。
グレミオ

「ぼっちゃん。こうなった以上、
 しばらくは 身を
 かくしたほうがいいですね。

 しかし、こんなことになるとは・・・・」

クレオ

「テオさまのいる
 北方へ行き、力をかりる以外に
 帝国にもどるすべは ないとおもいます。

 いまは ぶじに
 このグレッグミンスターをぬけだす方法を
 考えないと・・・」

ティエルが階下へ行こうとすると、グレミオが声を掛けてくる。
グレミオ

「ぼっちゃん。
 あんまり、ウロウロしないで
 くださいね。」

ティエル、一階へ。
マリー
「ぼっちゃん、
 あんまり うろつかないほうが・・・・」
──食堂
ビクトール
「やっべーーーな、
 あんまりはらがへってたんで つい・・
 どうするかなぁ。」
ティエルが外へ出ようとすると、入れ違いに入って来た帝国兵にぶつかる。
兵士

「うわっ!いててててて・・
 いきなりぶつかってきて
 いてえな このチビすけがぁ!

 こっちはなぁ 休みだってのに
 かり出されて、てつやで人さがし。
 やっと ひと息ついた所なんだぞ!」

ティエル
「うるさいな マヌケ」 ←
兵士、飛び上がって怒る。
兵士
「おまえらを守ってやってる
 帝国の兵士さまにむかって
 なんてイイグサだ!」
「(ここは 目立たないようにしないと)」 ←
兵士
「おい まてよ チビすけ。
 人にぶつかっといて、あやまりもしねぇのか
 親の顔が見てぇぜ。」
兵士
「ん? ちょっとまて。
 おまえの顔 どこかで
 見覚えがあるような・・」
ティエル、後ずさる。
グレミオとクレオが慌てて降りて来る。
グレミオ
「ぼ、ぼっちゃん。
 だいじょうぶですか?」
クレオ、一歩前へ。
クレオ
「おい お前ら、
 どういうつもりだ!」
兵士
「なんだ おまえらは?
 それに ぼっちゃんって?」
兵士2
「おい!そいつの顔を見せろ、
 どうも おたずね者のマクドール家の
 ガキに 似てるような気がする。」
グレミオ、一歩前へ。
グレミオ
「な、なんだと。」
クレオ
「このまま さわぎが大きくなると
 まずいことになるな。」
グレミオ、ティエルへ向き直る。
グレミオ
「ぼっちゃん。わたしたちが
 やつらを くいとめます。
 ぼっちゃんは 逃げてください。」
クレオ
「そうだな やるしかないか。
 いくぞ・・・・」
ビクトール、食堂からやって来る。
ビクトール

「はい、はい、はい、はい
 そこまでに しときなよニイチャン。
 そっちの 帝国のおえらいさんも、

 なあ、なあ 考えても見て下さいよ、
 おたずね者になって まだこんな所で
 ウロウロしてる、
 そんな マヌケがいるわけないって、」

兵士
「ま、まあ そうだが
 いちおう・・」
ビクトール
「やめなよ、こわがってるぜ。
 そのガキどもは このおれが
 外にたたき出しといてやるよ。」
兵士2
「おい、ちょっと待て、」
ビクトール、有無を言わさず一同を外へ連れ出す。
兵士
「まあ いいじゃないかよ。
 別に帝国にそんなに ぎりだてする
 必要もないし。」
マリー、飛び上がって叫ぶ。
マリー
「あーーー!!
 あのおとこ!!!」
一同、宿屋の裏へ。
グレミオ
「ありがとうございます 助かりました。」
ビクトール
「なーに おたがいさまよ。
 おれもなぁ、メシ代がなくて
 こまってたところさ。」
グレミオ
「ああー!!
 ってことは じゃあ!!」
クレオ
「ひとのことを
 食い逃げのだしに・・」
ビクトール
「まあまあ いいじゃねえか。
 じゃあな、あぶない所を
 たすけてくれて ありがとよ。」
ビクトール、去って行く。
宿屋に戻ろうとすると、グレミオに引き止められる。
グレミオ
「ここはまずいですよ。」
一同、ビクトールを追って城近くのベンチへ。
ビクトール
「どうした? こまった顔して。
 へへっ、知ってるぜ。 おまえだろ?
 マクドール家の反逆者ってのは」
グレミオ
「わたしたちは反逆者じゃないですよ!」
ビクトール

「そりゃどっちでもいいや。
 それよりも、おまえさんたち
 ここからどうやって逃げ出す気だい?

 あんたらが その気なら
 おれに 考えがある。
 この手のことは なれてるんでね。
 どうだい、のってみるかい?」

ティエル
「信用できないな」 ←
グレミオ
「そうですよね ぼっちゃん。
 わたしも この人は信用できません。」
ビクトール
「そう言うなよ。」
ティエル
「信用できないな」 ←
「わかった たのむ」
クレオ
「信用はできないが、
 他に方法も思いつかないし、」
ビクトール
「そうだろ。
 お姉ちゃん あんたは話がわかるな。」
ティエル
「信用できないな」 ←
「わかった たのむ」
ビクトール
「そうかよ。
 じゃあ すきにしな」
「わかった たのむ」 ←
ビクトール
「ようし、まかせとけって。
 ただ 一つ条件がある。」
グレミオ
「ほら きましたよ。」
ビクトール

「なーに、むずかしいことじゃない。
 うまいこと逃げ出せたら、
 あんたらに 会ってほしい人がいる。

 どうだい、悪くない条件だろ。
 まあ、話は決まったんだ、 急ごうや

 まずは城門まで、いっしょに行こうぜ。
 だーーいじょうぶ、帝国のやつらに
 引き渡しなんかしねえよ。」

ビクトール
が仲間に加わった!
一同、城門へ。
ビクトール
「さーーーてと。
 おれが 話をつけてくる。
 おとなしく まってなよ。」
ビクトール、門番の兵士と何やら密談。
ビクトール
「OKだぜ。
 顔見られないように
 するんだぞ。」
門番、門の前から移動して。
門番
「ふぁぁぁぁぁ、
 ひざしが きびしくてたまらんな。
 こっちの かげにでも・・・・」
一同、急いで門外へ。
グレミオ
「はあ、はあ、やりましたね。
 わたしは しんぞうがとび出すかと
 思いましたよ。」
クレオ
「しかし あんた、
 どんな 手を使ったんだい?」
ビクトール

「なあに、かんたん かんたん。
 ちょいとばかし ワイロをつかませたのさ。
 帝国軍も、弱者には強いが、金には弱い。

 皇帝の都といえども、このていどさ、
 どこもかしこもくさって、
 ゆるみきってるのさ。」

クレオ
「なげかわしいね。」
グレミオ
「でも・・・・・
 ワイロって さっき金がないとか
 言ってませんでした。」
ビクトール
「あんたらが逃げるための金を
 どうして おれが出すんだよ。」
グレミオ、きょろきょろと懐を探る。
グレミオ

「えっ?
 ・・・??????????

 ああーーーーっ!
 サイフ!!
 いつの間に!」

ビクトール、グレミオに財布を返す。
ビクトール

「ほらよ かえすぜ。
 こんどはきちんと しまっときな。

 さあ約束 約束。
 忘れてねえよな。
 ええーーーと ぼうず・・・・

グレミオ、飛び上がって叫ぶ。
グレミオ
「ティエルさまだ!!」
ビクトール
「じゃあ ティエル。
 お前らに会わせたい人がレナンカンプに
 いるんだ。行ってくれるよな?」
ティエル
「約束だからね。」 ←
ビクトール
「ようし、こんなところ、とっとと
 おさらば しようぜ。
 レナンカンプは南へ行けばすぐだ。」
「レナンカンプって どこだ?」 ←
ビクトール
「はああ?
 はこ入りの おぼっちゃんってわけか。
 南に向かえばすぐさ。さあ、出発 出発。」
一同、レナンカンプへ。