幻想水滸伝1 台詞集 第一章

虎狼山

──入り口
ビクトール
「ずいぶんと 日がかたむいてきたな。
 今日中に、山をこえられるかな?」
クレオ
「わたしは 野宿はごめんだよ。」
オデッサ
「とにかく 登らないことには
 はじまらないわ。
 さあ 行きましょう。」
──中腹
宿屋の横、ルドンが話し掛けてくる。
ルドン

「いやーー お客さん。
 こんな時間に下から 登って来たんですか?
 たいした どきょうだねぇ。

 しかし、この先に行くのは、
 明日にしたほうが いいですよ。
 このあたりは 盗賊もうろついて
 ぶっそうですから。

 どうです。
 うちの宿で 一泊していくってのは?」

オデッサ
「ごめんなさい、
 先をいそいでるから・・」
ビクトール
「いいね、いいね、
 もう 足がくたくただぜ。」
グレミオ、ビクトールに向き直る。
グレミオ
「おや めずらしく 意見が合いましたね。
 わたしも これ以上は ちょっと。」
ティエル
「ぼくも さんせいだな」 ←
ビクトール
「ようし決まりだ、
 おい おやじ、 酒はあるだろうな。」
ルドン
「もちろんですとも。
 どうぞ こちらへ」
クレオ
「まったく しょうがないね。
 オデッサ、これは泊まるしか なさそうよ」
オデッサ
「ふふ ほんと言うと、
 わたしも もう足が動かないの。」
「先を急いだほうがいい」 ←
ビクトール
「おいおい じょうだんだろ。
 ああ なんてこった
 おれの足がかってに・・・」
ビクトール、宿屋の方へ。
グレミオ
「ああ、 わたしの足も かってに・・・」
グレミオ、倣うように宿屋の方へ。
クレオ
「まったく しょうがないね。
 オデッサ、
 あなたの足は かってに動かないの?」
オデッサ
「ふふ ほんと言うと、
 わたしの足も かってに動いて
 休みたがってるわ。」
クレオ、オデッサと連れ立って宿屋の方へ。
ルドン、宿屋の中へ。
ビクトール
「おい、入るぞティエル」
一同、中へ。
暗転。
──宿屋
テーブルを囲む一同の元へ、ルドンがお茶を運んで来る。
ルドン
「みなさん 食事の前に これをどうぞ、
 この 虎狼山とくせいのお茶です。」
ビクトール
「どれ、どれ」
グレミオ、飛び上がって驚く。
グレミオ
「うっ けっこう にがいですよ。」
クレオ
「そうね、ずいぶんと にがいわね」
ルドン
「さあ、あなたも どうぞ」
ティエル
「にがいのは いやだ」 ←
ルドン
「まあ、そう言わずに
 ひとくち どうぞ。」
ティエル
「にがいのは いやだ」 ←
「ちょっと 味見をするか」
ルドン
「いや、いや、
 そんなに にがくないですよ。
 それに けんこうにも いいんです。」
ティエル
「にがいのは いやだ」 ←
「ちょっと 味見をするか」
ルドン
「ねぇ おねがいしますよ。
 のんでくださいよぉ」
ティエル
「にがいのは いやだ」 ←
「ちょっと 味見をするか」
ルドン
「まあ、そう言わずに
 ひとくち どうぞ。」
 ──以下ループ──
「ちょっと 味見をするか」
ルドン
「さあ さあ、
 どうぞ、 あついですから
 きをつけてくださいね」
オデッサ
「へんね、みょうな においがしない?」
ビクトール
「おい この茶は なんて名前だ」
ルドン、ビクトールに向き直る。
ルドン
「へぇ このお茶は
 虎狼山の名物
 “ぬすっと茶”です」
グレミオ
「ずいぶんと かわった名前なんれふねぇ」
クレオ
「こ、これは!」
ビクトール、飛び上がって抗議。
ビクトール
「おい、おまえ!
 なにをまへやはったんら、
 ほの やろふ」
クレオ
「ふ、不覚 こんな手にひっははるなんへ」
グレミオ、ティエルへと向き直る。
グレミオ
「ぼっひゃーーーん」
暗転。
ティエル、オデッサはテーブルに、他三人は床へと倒れ伏す。
ルドン
「うひうひうひ、
 虎狼山の名物、
 毒入り茶をのんで みんな おねんねよ。」
ルドン、一同の懐をまさぐっていく。
ルドン
「おお、こりゃ旅の一行にしちゃ
 ためこんでやがったな。
 しばらく 遊んでくらせそうだな。」
ケスラーが入り口からやって来る。
ケスラー
「おい ルドン! 元気にしてるか!
 おっ今日も しょうばいはんじょう
 ってわけか」
ルドン、ケスラーの元へ。
ルドン
「これは ケスラーの親分。
 いつも お世話になってます。
 ええ 今も一仕事おえたところでして、」
ケスラー、倒れ伏すオデッサの元へ。
ケスラー

「おっ いい女もいるじゃねぇか、
 ん 待てよ、
 たしか こいつは・・・・

 おいルドン!! てめぇ なんてことを
 しやがったんだ!!」

ケスラー、ルドンへと向き直る。
ルドン
「え、え、 なんですかいきなり」
ケスラー
「こいつ、 いや このかたが
 だれか知ってるのか!」
ルドン、ケスラーの元へ。
ルドン
「だれって まぬけな旅人」
ケスラー、飛び上がって怒鳴る。
ケスラー
「ばかやろう!
 おまえだって 解放軍を率いている
 オデッサさまぐらい知ってるだろう」
ルドン

「いやだなぁ 親分。
 オデッサさまの ことなら
 そのへんのガキでも名前ぐらい・・

 えっ もしかして
 このかたが・・」

ケスラー
「そのとおりよ
 ほら はやいところ
 解毒薬を用意しな。」
暗転。
ルドン
「えーーと 、
 うさぎのしっぽと、バラの葉と、
 さとうを ひとつかみ・・」
ケスラー
「おい ルドン。
 オデッサさまに もしものことがあったら
 おまえの首と体がオサラバしちまうぞ!」
ルドン、飛び上がって慄く。
ルドン、奥の部屋へ材料を取りに行き戻って来る。
ルドン
「ひーーーーっ、
 バラのしっぽと、さとうの葉と、
 うさぎを ひとつかみ・・・」
暗転。
一同、解毒薬により気が付く。
ケスラー

「もうしわけありません オデッサさま。
 知らぬこととはいえ、このケスラーの
 一生の不覚となるところでした。

 なんでしたら、このルドンのやろうを・・」

ルドン、飛び上がって慄く。
ルドン
「ひ、ひぃ
 首と体がオサラバだけは
 かんべんを・・・」
オデッサ

「ばかなことを言わないで。
 ふう、それにしても
 これからは用心しないとね。

 フリックの言う通り、
 わたしは人を信じすぎるのかしら。」

ルドン
「あの、おわびと言っては なんですが、
 この宿にお泊りください。
 できるかぎりの もてなしをしますので。」
ビクトール
「毒入りは もうごめんだぜ。」
暗転。
──翌朝 宿屋の一室
ティエル、起き上がってそれぞれに話し掛ける。
オデッサ

「すーーー、すーーー

 ギリギリギリギリ

 すーーー、すーーー」

クレオ
「ZZZZZZZZ・・・・」
ビクトール
「ゴワアオォォォォ・・・
 ぐわあおぉぉぉぉ・・・・・」
グレミオ
「ぐー、ぐー」
ティエル、部屋の外へ。
ルドン
「いやぁ もう毒入り茶は
 やめることにしましたよ。
 今回で こりごりでさぁ」
ケスラー

「あんたも解放軍の一員かい?
 そうか 違うのか。

 オデッサさまは すごい人だ。
 あの帝国を、本気でひっくりかえす気だ。
 帝国に不満をもつ者は多いが、
 そこまで かんがえる奴はいない。

 このおれだって 帝国をにくんでいても、
 やってることは ただの盗賊さ。
 だから、オデッサさまは
 おれたちの希望なんだ」

オデッサを除く三人、起床してティエルの元へ。
グレミオ
「おはようございます ぼっちゃん。」
ビクトール
「おう はやいなティエル。」
クレオ
「・・・・・・・・・・・」
ビクトール、グレミオへと向き直る。
ビクトール
「おい グレミオ、
 なんだってクレオは
 あんなに きげんがわるそうなんだ。」
グレミオ
「だめですよ ビクトールさん。
 クレオさんは 寝起きがわるいんですよ。」
オデッサ、起床して皆の元へ。
オデッサ
「みんな そろってるわね。
 さあ、今日中にサラディまで
 行くわよ。」
ルドン
「もう 出発ですか。
 じゃあいますぐ ドアのカギを開けますよ」
ルドン、入り口へ。
一同、サラディへ。