幻想水滸伝1 台詞集 第一章

セイカ

民家の横、マッシュが佇んでいる。
マッシュ
「ええ、たしかに
 わたしがマッシュです。
 なにようですか?」
グレミオ、進み出る。
グレミオ

「オデッサさんの ゆいごんで
 ここに来ました。

 オデッサさんは 最後に
 このイヤリングを
 あなたにわたすようにと言って・・」

マッシュ

「ゆいごん?
 ・・・・・・・・・・・・・・・

 そうですか・・・・・
 オデッサは・・・死にましたか。

 良い娘でしたのに、
 あんなことに首をつっこむから・・」

ビクトール、進み出る。
ビクトール
「あんなこと? 聞きずてならないね
 オデッサのやってたことを
 あんなことだってぇ?」
マッシュ

「ええ、ばかな娘です。
 いつかは こんなことになると
 思っていました。

 イヤリングはうけとれません。
 お帰りください。

マッシュ、寺子屋へ帰って行く。
──寺子屋
マッシュ
「オデッサとわたしは
 もうなんの関係もありません。
 お帰りください。」
──民家 横
ビクトール
「なんだい あいつは
 なんてやろうだ。」
クレオ
「そうだね。
 でも どうしてオデッサは
 あんな男に 会えと言ったんだろう。」
兵士が寺子屋の方へ連れ立って来る。
兵士
「おら!どけどけぇ!」
グレミオ

「いまの帝国兵たちは
 マッシュさんの家のほうへ行きましたよ!」

クレオ
「なにごとだ?
 気になるな。」
──寺子屋 前
兵士が少年を捕まえている。
マッシュ
「なにをするんです。
 その子を どうする気ですか。」
兵士

「マッシュ・シルバーバーグ。
 あんたには帝国軍にもどってもらう。

 当代きっての名軍師さまが
 こんな いなかのひなびた村で
 くすぶっている事はないだろう。
 カレッカの戦いの立て役者さんよぉ、」

マッシュ

「ことわる!
 わたしは、もう争いごとに
 かかわりたくないのだ。

 今のわたしは なんの力も持たぬ
 世すて人だ。」

兵士、一歩前へ。
兵士
「しかし、そうもいかんのだ。
 カシム・ハジルさま直々の命令だからな。
 むりやりにでも あんたをつれていく。」
マッシュ
「何度言われても、
 わたしは帝国にもどる気はない。」
兵士、捕らわれの少年を見やる。
兵士

「そうかい?
 でも あんまりわからずやを言ってると。
 この子が どうなっても知らんぞ。

 そうだな、バナーの鉱山送りにでもするか。
 あそこの仕事はきついぞ。
 生きてもどってこれるかどうか・・・」

少年、飛び上がって叫ぶ。
少年
「いやだよ。いやだよ。
 せんせい 助けてよ!
 せんせーーー!!」
マッシュ、少年に駆け寄る。
マッシュ
「そ、その手を はなすんだ。
 今 すぐにだ。」
グレミオ
「なんか まずいふんいきですよ、
 どうしますか ぼっちゃん。」
ティエル
「たすけるにきまってる」 ←
ビクトール
「ようし そうこなくっちゃな。」
クレオ
「まいったね。また やっかいごとかい。
 ぼっちゃんの おともはツライね。」
グレミオ
「クレオさん。 そんなこと言って。
 ほんとは よろこんでるくせに。
 さあ 行きましょう ぼっちゃん。」
「もうちょっと ようすを見よう」 ←
兵士
「さあてね。 おまえがもどると言えば、
 こんなガキ かえしてやるさ。
 さあ どうする。」
少年
「うるさーーい、  ガブッ」
少年、兵士に噛み付いて逃げ出し、マッシュの背へ隠れる。
兵士
「お、おのれ よくもやってくれたな!!
 おい、全員 ひっとらえろ!」
ビクトール
「おい まずいぜ、
 行くぞ ティエル!」
一同、兵士らの元へ。
ビクトール
「おい 待ちな。
 そのケンカは おれたちが かうぜ。」
兵士
「なんだ おまえらは?」
ティエル
「解放軍の生き残りさ」
「通りすがりの 正義の味方」 ←
兵士
「?????ジャマする気か?
 おい、反逆罪だ!
 こいつらから ひっとらえろ!」
戦闘開始。
マッシュ
「なんてことを。
 あなたたちは・・・・
 子供たちの前で、こんな殺し合いを・・・」
暗転。
──寺子屋
マッシュ

「知っていますよ。
 テオ・マクドール将軍の息子、
 ティエルさんですね。

 あ、なぜ知ってるかですね。
 わたしには帝国軍に何人か
 友人がいるものでしてね、
 そういう話は伝わって来るんですよ。」

グレミオ
「さっきの帝国兵は あなたのことを、
 マッシュ・シルバーバーグと・・」
マッシュ
「そうです。オデッサは・・
 オデッサ・シルバーバーグは
 わたしの妹です。」
クレオ
「ではなぜ さっきはあんなことを?」
マッシュ

「わたしはね、もう二度と争いごと、
 人と人が戦うような事に
 関りあいにならないと、決めたんですよ。

 でも、オデッサはちがった。
 自分の信じるもののために、
 その身をつねに戦いの中においた。

 ・・・・・・・・・・・
 オデッサは わたしのことを
 なんと呼んでいましたか?」

クレオ
「セイカに住むマッシュという男、
 と・・・」
マッシュ、背を向ける。
マッシュ

「そうですか。
 オデッサは やはりわたしを
 ゆるしてはくれなかったようですね。

 オデッサは言っていました。
 力を持っているのに、
 それを使わないのは おくびょうだと。

 たしかにわたしは おくびょう者です。
 でも、おくびょうと言われても、
 やはり あんな場面を
 もう二度と見るのはいやでした。

 たとえ、あの娘に
 兄として 認められなくても。」

グレミオ
「あんな 場面?」
マッシュ、一同に向き直る。
マッシュ

「みずからの行いで、
 人が死んでいくこと。
 それが 敵であれ、味方であれ。

 ・・・でも、今日 わたしの選択は
 まちがいだったと わかりました。
 まぶたをとじても、
 世界がなくなったわけではないのです。

 わたしも 今日 この日から、
 彼女のめざしたものを めざしましょう。」

グレミオ、進み出る。
グレミオ
「では、このイヤリングを
 うけとってもらえますね。」
マッシュ

「イヤリング?
 ・・・・・・・・・・・・・・・

 ティエル、
 これは あなたが持つべきものですね。」

ティエル
「なぜです?」 ←
マッシュ

「これを、
 このイヤリングの中に
 入っているものを見てください。

 ここには、解放軍のアジトをしるした
 ちいさな地図が入っている。
 つまり、これをうけとる者は、
 解放軍をひきつぐ者でなければならない。」

「でも、オデッサさんは・・」 ←
マッシュ
「オデッサは 本当は
 このイヤリングを あなたに
 たくしたかったんだと 思います。」
マッシュ

「わたしは 軍師としての才はもって
 いますが、解放軍を、人々をひきいる
 リーダーの器ではない。

 しかし、ティエル。
 あなたには それがある。
 オデッサも そう思っていたのでしょう。
 だから、あなたを わたしに会わせた。

 おねがいします ティエル。
 このイヤリングと、
 そしてオデッサの遺志、
 解放軍の遺志をうけとってください。」

ティエル
「ぼくには ムリです」 ←
マッシュ

「そうですか。
 決心がつかないのでしょう。

 時間をさしあげます。
 決心がついたら、もう一度
 ここに もどってきてください。」

マッシュ2
「ティエル。
 決心はつきましたか。
 オデッサの遺志を引き継ぐ決心が」
ティエル
「ぼくには ムリです」 ←
「わかりました」
マッシュ

「そうですか。
 決心がつかないのでしょう。

 時間をさしあげます。
 決心がついたら、もう一度
 ここに もどってきてください。」

 ──以下ループ──
「わかりました」 ←
マッシュ

「ありがとう、ティエル。
 いえ、いまこの時から、
 あなたは解放軍のリーダーです。

 ですから、これからは
 ティエルどのと
 呼ばせてもらいます。」

ビクトール
「グレミオ、クレオ、おいどうするよ。
 おまえら 帝国にもどれなく
 なっちまったぜ。」
グレミオ
「ぼっちゃんが 行く道であれば、
 わたしは それについていきますよ。
 テオさまも ゆるしてくれるはずです。」
クレオ
「わたしもだ。
 くさりきった帝国軍に
 あいそがつきてたところだ。」
マッシュ

「ティエルどの。
 このマッシュ、あなたの軍師として、
 最初の進言をさせてもらいます。

 解放軍をよみがえらせるには、
 人を集めなければなりません。
 帝国に不満を持つ人々を。

 そして、人を集めるには
 それを入れる器が必要です。」

ビクトール
「そうだな。
 レナンカンプのアジトは
 なくなっちまったしな。」
マッシュ

「いえ、もっと大きな、
 そして帝国軍の攻撃に
 ひるむことのない器が必要です。

 トラン湖の湖上に、今は はいきょ
 となっている城があります。

 この城を 手に入れるのが良いかと
 考えます。
 まずは、湖のほとりの町、
 カクへむかってはいかがでしょう。」

グレミオ
「マッシュさんは いっしょに
 行かないんですか。」
マッシュ

「わたしは ひっこしの準備を
 しなければなりません。

 子供たちにも、
 一年分のしゅくだいを
 だしておきましょう。」

マッシュ2
「トラン湖の城にわたるため、
 まずはカクの町をめざしては
 いかがでしょうか・・・・」
一同、カクへ。

寄り道

──宿屋
アントニオ

「わたしは料理だけが生きがいでね。
 でも、まだみせをもてないんだ。

 どこか、うでを
 ぞんぶんにふるう所があれば・・」

──宿屋 右端の一室
マリー

「おや、まあ、
 ティエルじゃないの。
 ぶじだったのかい。

 あたし? あたしかい。
 いやーー、あんたをかくまってたのが
 バレちゃってね。

 あ、だいじょうぶだよ。
 うらんでなんかないって。
 これも運命だよね。」

──民家
オニール

「ちょいと あんた知ってるかい?
 ここだけの話だけどね。

 解放軍のリーダー、オデッサさんが
 ゆくえ不明だそうよ。」