幻想水滸伝1 台詞集 第二章

エルフの村

バレリア、村長と村人らともめている。
バレリア
「いいかげんにしろ。
 わたしの話を聞け!
 こんな無礼なことをしやがって。」
村長

「話? 話だと?
 おまえら人間が まともに話をできるとは
 思っても みなかったわ。

 で、話というのは なんだ。
 わしらを ねだやしにする
 いい方法でも 思いついたのか?
 その小さい頭で!」

バレリア

「そうとも、そうともさ。
 クワンダは、あの男は おそろしいことを
 考えているんだ。

 おまえらを ねだやしにするどころか、
 この森を、
 わたしのふるさとでもある この森を
 やきはらうつもりなんだ。」

村長
「おまえら 人間に そんなことが
 できるものか。
 おい、これを 牢にぶちこんでおけ。」
村長、去って行く。
バレリア、村人に捕らわれ連れて行かれる。
──村長の家
シルビナ、キルキスの元へ駆け寄って来る。
シルビナ
「キルキスーーーーーー、
 どうして わたしのことを一人にしたの。
 シルビナは さみしかったんだよーーー」
キルキス
「いや、一人にしたわけでは・・・」
シルビナ
「ひどいわ 一人で行っちゃうなんて、
 シルビナも つれてってくれたら
 よかったのに。ねぇ外はおもしろかった?」
キルキス
「いや その、あそびに行った
 わけじゃないし・・・、あぶないから
 きみを つれていけなかったんだよ。」
グレミオ
「そりゃ そうでしょうね。」
シルビナ2
「ねぇ、キルキス
 キルキスは何か悪いことしたの?
 おじいちゃんがこわい顔してるから・・・」
村長
「キルキス。
 わしの ゆるしなく村の外に出て、
 おまえは なにをしてきたというのだ。」
キルキス

「はい。
 人間たちのなかにも、帝国と戦っている
 ものがいます。

 かれら、解放軍のちからをかりるために、
 ぼくは 村をでました。
 このエルフの村を まもるために。」

村長、飛び上がって怒る。
村長

「この村を守るために だと。
 なにを言うか。この村を守るのに、
 人間のちからをかりる必要などない。

 たしかに、いっときは クワンダの兵に
 おされぎみだったが。
 しょせんは 人間。
 最近は おとなしいものだ。」

キルキス
「しかし・・・」
村長

「うるさい。 キルキスよ、
 村をかってに出た上に、うすぎたない
 人間どもをつれてきおって。

 この者たちも、牢にぶちこんでおけ。」

村人
「はい。」
シルビナ
「え、え、え?え??え???え
 ど、どうして おじいちゃん。
 どうしてキルキスを つかまえるの?」
暗転。
──村長の家 地下牢
牢にはバレリアとスタリオンが居る。
スタリオン、ティエルの周囲を走り回る。
スタリオン

「お、だれかと思ったら。
 帝国が攻めてくるのを知って逃げ出した
 おくびょうものの キルキスじゃねぇか。

 おれ? おい おれをわすれたのかよ。
 おれは この村一の足じまん。
 いだてんスタリオンさまさ。
 知らないの?

 みせてやりたかったぜ。
 クワンダのやつがせめてきたときの
 おれの逃げ足のすばらしかったこと。
 はははははははははは。」

バレリア
「なんだ おまえらは? 解放軍?
 エルフをたすけに?
 おたがい ばかをみたもんだな。」
グレミオ
「そのふくそうは、帝国軍の・・」
バレリア

「ああ、まったく わたしもばかだったよ。
 いのちがけで 帝国をうらぎって、
 ここまできて このザマだもんね。

 エルフってのは なんて頭のかたい
 連中なんだ、わたしの話を
 これっぽっちも 信用しない。」

キルキス
「話というのは?」
バレリア

「ああ、そのことか。
 この地方をあずかっているのは
 帝国の大将軍クワンダ・ロスマンだ。

 やつは しばしば反乱をおこすエルフたちを
 ねだやしにするために
 おそろしい兵器をつくった。」

グレミオ
「おそろしい兵器、ですか。
 なんでしょうね。」
バレリア

「わたしも くわしいことは知らんが、
 名前は“焦魔鏡”という
 なんでも、森を一瞬でやきつくせるらしい。

 そんなものを 使ったら、
 エルフどもどころか
 わたしの生まれた村まで・・・

 だから、ここに来たんだ。
 エルフどもに、このことを知らせて、
 “焦魔鏡”ができあがるのを ふせいで
 もらおうと思ったんだが・・・・」

グレミオ
「きがつけば、
 こんな 牢のなか というわけですね。」
バレリア2
「こんなところでグズグズしている
 ヒマはないのに。
 チッ、エルフなんて信用するから・・・」
物音がする。
キルキス
「だれだ。」
シルビナ、牢へやって来る。
キルキス
「シルビナ・・・」
シルビナ
「おじいちゃんは 会っちゃいけないって
 言うんだけど。わたし どうしても
 聞きたいことがあって・・」
キルキス
「聞きたいことって?」
シルビナ

「ねぇ キルキス。
 どうして、あんた そんな人間に
 こだわるの。

 人間なんて、どんなに いばったって、
 50年もすればすぐ死んじゃうのに、
 どうして そんな生き物に、
 こだわるの。」

グレミオ
「すぐ死んじゃうって・・・・・そんなぁ」
キルキス

「シルビナ 聞いてくれ。
 人間は ぼくたちエルフや、ドワーフを
 きらっている。

 ぼくたちは 人間をさげすみ、
 ドワーフは ぼくらをけいべつしている。
 そんなのは かなしいじゃないか。

 ぼくらの間に何のちがいがあるんだ。
 なぜ 仲良くできないんだ。
 それが ぼくにはわからないんだ。
 とっても かなしいんだ。」

シルビナ

「キルキス・・・

 ごめんね キルキス。やっぱり わたし
 キルキスの言うことが わかんない。
 理解できない。

 やっぱり人間は信用できないし、
 ドワーフはこわいわ」

シルビナ、視線を逸らして逡巡。
シルビナ

「でも・・・でも・・
 シルビナは あなたを信じる。

 あなたが信じたものを
 わたしも信じる。
 信じるように がんばってみる。」

キルキス
「シルビナ・・・」
シルビナ
「これ 牢のカギ。
 こんなことして、こんどはシルビナが
 牢に入んなきゃいけないのかな?」
シルビナ、牢のカギを開ける。
スタリオン
「はっは、このスタリオンさまの逃げ足を
 いまこそ 見せてやる」
スタリオン、風のように駆け去って行く。
グレミオ
「す、すごい。」
シルビナ
「ねぇ キルキスも逃げて、
 あんな ふうには むりだろうけど・・・」
キルキス
「いや、逃げるわけにはいかない。
 バレリアさんの言っていた
 “焦魔鏡”を なんとかしないと・・」
バレリア
「方法があるというのか?」
キルキス

「ええ、心あたりは・・
 ティエルさま、
 このエルフの村の北東に、

 ドワーフたちの住む、鉱山があります。
 かれらなら、なにか知っているはずです。
 かれらに、力をかりましょう。」

ティエル
「そうだな」 ←
バレリア

「同感です。
 はやくしないと とりかえしのつかない
 ことになります。

 “焦魔鏡”ができあがるまえに
 なんとかしないと。」

「一度、城にもどろう」 ←
グレミオ

「ぼっちゃん
 そのひまはないと思いますよ。

 こうしている間にも “焦魔鏡”は
 できあがっていってます。
 すこしでもはやく なんとかしないと」

シルビナ、飛び上がって驚く。
シルビナ
「キルキス!
 ドワーフのところに行くの!
 ドワーフはエルフを食べちゃうって・・」
キルキス
「それは へんけんだよ。
 ぼくは そういったものをなくしたいんだ。
 行きましょう ティエルさま。」
シルビナ2
「はやくしてキルキス、
 見つかったらおこられちゃう。」
──エルフの村 入り口
バレリア
「ティエルどの。
 この わたしも同行させてください。
 この森を 守りたいのです。」
バレリア
が仲間に加わった!
シルビナ
「キルキス・・・」
キルキス
「いっしょに来るかい シルビナ。
 こんどは つれていってあげるよ。」
シルビナ

「・・・・・・・・

 わたしは のこる。
 わたしは ここでキルキスの帰って来るのを
 まってる
 だから・・・・

 だから、必ず帰って来てね。
 約束よ。」

キルキス
「ああ、必ず帰って来る。
 もうシルビナを かなしませるような
 ことはしないさ。」
シルビナ
「きっとよ。」
二人、抱き合う。
一同、ドワーフの村へ。