幻想水滸伝1 台詞集 第三章

隠された紋章の村

一同、見知らぬ村の祠より放り出される。
ビクトール
「いててて、なんだぁ ここは?」
クレオ
「さあね、どうくつから
 ほうり出されたみたいだね。
 うかつな だれかさんのせいで。」
ビクトール
「ま、まあ 生きてたんだから
 いいじゃねぇか。」
一同が村の中を歩いていくと、少年が家から飛び出して来る。
少年、慌てて家の裏へ逃げて行く。
一同が少年の後を追おうとすると、横をすり抜け祠の方へ逃げて行った。
テッド
「ねぇ ねぇ おにいちゃんが
 たからものを とりにきた ひとなの?」
ティエル
「たからものって?」 ←
「ちがうよ。」 ←
テッド

「そうかぁ やっぱり ちがうんだね。
 よかった。

 おじいちゃんが こわいかおしてるから、
 ぼく しんぱいになったんだ。」

遠くから、テッドを呼ぶ声がする。
村長
「テッド!! こっちにきなさい!」
テッド
「はーーい」
テッド、足早に家の方へ駆けて行く。
クレオ
「ティエルさま・・・
 いまの少年、たしかテッドと・・・」
ティエル
「テッドに似ていた気がする」 ←
クレオ
「どういうことでしょう。」
「いや、他人だろう」 ←
クレオ
「でも、テッドくんの
 おもかげがあるような気がしますが・・」
一同、テッドを追って村長の家へ。
テッドと村長、家の前で向かい合っている。
テッド
「え?なあに?
 ぼくの顔になにかついてる?」
村長
「おまえが あの女からの使者か?」
ビクトール
「あの女? 使者?
 どういうことだ、 わけがわからないぜ。」
村長
「では、あの女とは
 関係ないと言うんだな。」
ビクトール
「だから あの女ってのは
 なんのことだ!」
村長
「関係がないのなら、
 早くここを 立ち去るんだな。
 来るんだ テッド」
テッド
「まってよ おじいちゃん。
 あのひとたちの はなしをききたいよ。」
村長
「くるんだ!」
村長、テッドを連れ立って家の中へ。
──村長の家
村長
「なんだ。まだ 出ていってなかったのか。
 よそものに ようはない。」
クレオ

「あなたは なにをそんなに
 おびえているんです?

 あなたの 言っていた“あの女”に
 関係があるんですか?」

ウィンディ
「おや おや ひとのことを
 “あの女”よばわりかい。
 ひどいわねぇ。」
家の外からウィンディの声が掛かる。
一同、慌てて外へ。
ウィンディ、ネクロードを連れ立って待ち構えている。
村長
「ウ、ウィンディ・・・
 なぜ、こんなところに・・・」
ビクトール

「ネクロード!! きさま!
 こんなところにまで あらわれて!

 ・・・・・・・ところで クレオ、
 こんなところって ここはどこなんだ?」

ビクトール、クレオを見やる。
クレオ
「・・・・・・・・・・・知るか。」
村長
「ウィンディ、なんのようだ。」
ウィンディ

「村長、
 あんたが素直に紋章をわたさないから

 わざわざ、出向いてあげたんだよ。
 かんしゃしなさい。
 さあ、はやいところ
 “ソウルイーター”をわたすんだよ。」

村長
「そんなものは 知らん!」
ウィンディ
「かくしたってむだだよ。
 ここが、隠された紋章の村だってことは
 わかってるんだよ。」
ビクトール、クレオを見やる。
ビクトール
「おい クレオ、
 ここは 隠された紋章の村 らしいぞ
 おぼえておこう。」
クレオ
「隠された紋章の村・・・
 ・・・テッドという名の少年・・」
地鳴りが響き村に火の手が上がる。
ウィンディ

「村長、いまのみたかい。
 あんたが わからずやを言ってるあいだに
 ユーバーがたいくつしたらしいね。

 さあ、はやく紋章を わたさないと
 じゅんばんに 村をやきはらっていくよ。」

ウィンディ、一歩前へ。
村長

「お、おのれぇ・・・・
 そんなに、この力、ソウルイーターの
 呪われた力がみたいのか

 呪いの紋章“ソウルイーター”よ、
 その力を示し、わが敵をうちたおせ。」

村長の詠唱と共に紋章が輝き、黒い闇が周囲を覆う。
一瞬の後には一同の姿は掻き消えていた。
ウィンディ、周囲をきょろきょろと見回す。
暗転。
──村長の家 掛け軸に隠された奥の一室
村長
「旅のかたよ。
 こんなことに まき込んでしまい
 すまないと思っている。」
ビクトール
「そのとおりだ。」
村長
「テッドよ。
 こっちにきなさい。」
テッド
「はい。おじいちゃん。」
テッド、村長の前へ進み出る。
村長

「右手を出すんだ。
 そうだ。いいかい テッドじっと
 してるんだよ。

 なんじ ソウルイーター、
 生と死をつかさどる紋章よ、
 われより 出て、この者に
 その力をあたえよ。」

村長の詠唱と共に紋章が輝き、黒い闇が周囲を覆う。
村長の足元より赤い五芒星の光が出、村長を包む。
一条の白い光がテッドを包み、継承の儀式が終わる。
テッド
「お、おじいちゃん。
 これはなに。」
村長

「テッド、ゆるしてくれ。
 おまえに つらい運命を背負わせてしまう
 ことになる。

 しかし、この紋章の力は 使われては
 いけないのだ。」

村長

「旅のかたよ。この奥に村の外へ通じる
 秘密の抜け道がある。

 この子を、テッドをつれて
 逃げてください。
 わたしは、ウィンディたちの目を
 ひきつけるためオトリになります。」

村長、隠し部屋を出て行く。
クレオ
「行きましょう テッドくん。」
テッド、振り返る。
テッド
「う、うん。
 おじいちゃんは あとからくるんだよね。」
クレオ
「ああ、そうさ だから今は急ぐんだよ。」
一同、抜け道を急ぐ。
ユーバー、一同の行く手を阻むように降り現れる。
ユーバー

「ウィンディさまも心配性だな。
 こんな村など、回りくどいことをせず
 いっきにつぶしてしまえばいいのに。

 言われたとおりに みはっていれば、
 やってくるのは
 子供と こしぬけだけではないか。」

ビクトール、一歩前へ。
ビクトール
「なんだとーーー!!」
クレオ
「うかつにちかよるなビクトール!
 こいつ 強いぞ!」
ビクトール
「ああ、わかってる。
 こいつ人間じゃねぇ。
 こわさが ここまでとどいてくるぜ。」
ユーバー

「ほお、わたしの強さがわかりますか。
 それならば おとなしく
 わたしの剣の えじきになりなさい。

 いたくないように、
 きりきざんであげますから。」

クレオ
「く、くそう。」
ユーバーが一歩踏み出したところで、ネクロードが割り込むように現れる。
ネクロード
「おいユーバー。
 ウィンディさまが お呼びだ。
 あのじじい、森に逃げ込んだらしいぞ。」
ビクトール、一歩前へ。
ビクトール
「ネクロード!」
ネクロード、ビクトールへと振り返る。
ネクロード
「また あなたですか。
 いまは いそがしいのです。
 あなたの相手はいずれしてさしあげます。」
ユーバーとネクロード、去って行く。
暗転。
──村長の家 前
クレオ
「たすかった・・・みたいだね。」
ビクトール
「ああ、村のほうも
 だいたい火も おさまったようだ。
 村人が どうなったかはわからんが。」
テッド
「おじいちゃんは どうなったの?」
クレオ、テッドへと向き直る。
クレオ

「テッドくん。
 あなたは これから一人で生きて
 ゆかなくてはいけないの。 わかる?

 ティエルさま。
 やっぱり かれは あのテッドくんです。
 ここは、多分 過去の世界なんでしょう。」

クレオ、ティエルへと向き直る。
ビクトール
「過去?
 あの星辰剣とかいう奴の
 呪いで とばされたっていうのか。」
クレオ、ビクトールへと向き直る。
クレオ

「ええ、多分。
 今のは、テッドくんのいっていた
 300年前の事件・・・

 そして、かれは、テッドくんは
 今から、300年のあいだ
 一人で、旅をつづけなければいけない・・

 とにかく、われわれは
 なんとか もどる方法をみつけないと
 いけません。」

ビクトール
「そうかもな。」
ビクトール、祠の方を見やる。
ビクトール、飛び上がり一同を振り返る。
ビクトール
「おいティエル。あの光は なんだ?
 あそこは おれたちが
 最初に 出て来たところじゃねえのか?」
クレオ
「そうだね、
 あそこにもどってみよう。」
一同、祠の前へ。
ビクトール
「ここに入れば、もとの世界に
 もどれるかもな。」
クレオ
「たしかに、そうかもしれない。
 あんたにしちゃ まともな考え方だね。」
ビクトール
「ちぇっ。
 ティエル、そのテッドとかいう
 ガキはどうするんだ?」
ティエル
「つれて行く」 ←
クレオ
「しかし、かれを つれていって
 いいものか どうか・・・」
ビクトール
「はやく行こうぜティエル。
 いつ この光が消えるか
 わからないからな。」
「つれては行けない・・」 ←
クレオ

「テッドくんは、これから長いあいだ
 一人で、生きて行かなくてはいけない。
 それに その旅の終わりは・・・・

 それでも やっぱり、かれのその運命を
 かえることは いけないんでしょうね。」

テッド

「いっちゃうの? ぼくはどうすれば・・

 ねえ、一生のおねがいだよ、
 ぼくもつれていってよ。」

クレオ、テッドへと向き直る。
クレオ

「テッドくん。
 つよい子になりなさい。
 けっしてまけないこと。

 それから、その右手の紋章のことは
 だれにもおしえちゃだめよ。」

テッド
「うん。」
ビクトール
「おい そろそろ行こうぜ。
 いつこの光が 消えちまうか
 わからないからな。」
クレオ
「じゃあね。」
一同、祠の光の中へ。
暗転。