幻想水滸伝2 台詞集 第一章

キャロの街

ジョウイ、リオウへと向き直る。
ジョウイ
「やっともどってきたな、
 リオウ。」
アイリ、きょろきょろと街を見渡す。
アイリ
「へぇーー、ここがあんたたちの街かい。
 けっこう栄えてるんだね。」
リィナ
「では、ここでおわかれですね。
 道中、楽しかったです。」
アイリ
「そうだ、あんたたち、
 家はどこにあるんだい。
 またこの街によったら、顔を見に行ってやるよ。」
ジョウイ
「あ?・・・ぼくの家は、北のつきあたり
 リオウの家は西のはずれ、
 そこの道を左に行った所さ。
 道場だからすぐわかるよ。」
アイリ
「そうかい。じゃあまたな。」
ボルガン、一歩前へ。
ボルガン
「それじゃぁバイバイ。」
旅の一座、街を出て去って行く。
アイリ、一瞬振り返ろうとして──やはりそのまま去って行く。
ジョウイ、リオウへと向き直る。
ジョウイ

「リオウ・・・・・
 あの都市同盟の傭兵隊長が
 言っていたことは気になるが
 ぼくは家にもどってみる。

 ナナミも心配しているはずだから、
 きみもはやく家にもどってみたほうがいい。

 でも、気をつけてな。
 じゃあ、また後で・・・」

ジョウイ、自宅へと向かう。
──宿屋
店主
「いらっしゃ・・・・・・・・
 リオウ・・・・どうして、
 ここにいるんだ?ナナミちゃんをつれて、
 早く逃げたほうがいいぞ・・・・・」
給仕の女性

「ごめんなさいね・・・
 みんないきり立っていて・・
 !!

 あ・・・あなた・・
 リオウちゃんじゃないの・・・
 何してるの・・・・
 早くお逃げなさい・・・・・・・・」

給仕の女性2
「言ったでしょ・・・・
 あなた・・・おたずね者になってるのよ・・・・・
 はやく逃げるのよ・・・・・・・・」
──宿屋 二階
コボルトの男性

「わたしは、旅をしながらあちこちで
 むかし話をあつめているんです。

 それで、この街にむかしの英雄がいるって
 聞いてきたんですが・・・・
 誰に聞いても、何にも教えてくれないんですよ。」

──宿屋 横
少年
「へ!!リオウ!!!!
 裏切り者の子供は裏切り者だな!!!
 父ちゃんが、そう言ってたぜ!!!!
 こんな所でうろうろしていていいのか?」
──民家 前
女性A
「あら、あなた見たことがあるような・・・・
 この街の子でしょ?」
女性B

「ねぇ、あなた知ってます?
 あのアトレイド家のぼっちゃん。
 軍隊に入っていたんだけど、なんでも
 敵のスパイをやっていたって・・・・・

 どうしてかねぇ・・・・・・
 何不自由ないくらしが
 できるっていうのに・・・・」

女性A
「なんでも、あの街はずれの道場の
 子供がそそのかしたって話よ。」
女性AB
「あーーー、こわいこわい。」
──民家
パターン1
男性

「なんだ、何か・・・・・
 おまえはリオウ!!!!!!!
 この裏切り者め!!!!
 おまえのせいでおれの息子は・・・・

 とっつかまえて、つきだしてやる!!!」

リオウ、慌てて逃げ出す。
パターン2
女性
「きゃーーーーーーーーー!!!!
 ど、どうして、あんたがここにいるの!!!」
男性
「お、おまえはリオウ!!!!
 待て!!!!!!」
リオウ、慌てて逃げ出す。
──民家 二階
女性
「こんにちは。
 あれ?きみはリオウくんじゃない。
 無事にもどって来たのね。」
おばあさん
「はいよ?用かい?
 あれれ?あんたはゲンカクさん家の・・・」
──ラウドの家
少女

「あ・・・お兄ちゃん?
 あれ・・・・ちがうの????
 あ、この感じはリオウさんね。

 ね、聞いてリオウさん。
 わたしの目ね、治るって。

 お兄ちゃんがえらくなって、
 たくさんお金がもらえるから
 トラン共和国にいるエラいお医者さんの所で、
 治してもらえるって。

 ふふ、楽しみだなぁ。
 目が治ったら、リオウさんの顔も
 よく見せてね。わたし、
 リオウさんてハンサムだと思うな。」

少女2
「うふふふ、楽しみだなぁ・・・・・」
──道具屋
店主
「いらっしゃ・・・・・・・・
 リオウ・・・・どうして、
 ここにいるんだ?ナナミちゃんをつれて、
 早く逃げたほうがいいぞ・・・・・」
店主2
「ほら、早く買い物をしませて
 すぐ逃げるんだぞ・・・・・・・・・・・」
──道具屋 二階
女性

「リオウ!!!
 どうして、もどってきたの!!!
 あなた、おたずね者なのよ!!!!!

 わたしは、あんたがスパイだなんて
 思えないけど、みんなはつかまえたら
 しばり首にしてやるって言ってるわ。

 ナナミちゃんは、家にいるはずよ。
 早く行ってあげなさい。」

──道具屋 横
少年
「あ!!!おまえはリオウ!!!!
 やっぱり、もどってきやがった!!!!!
 こうしちゃ、いられない!!!!」
少年、駆け去って行く。
──ゲンカクの道場 奥
ナナミ、ゲンカクの墓の前で拝んでいる。
ナナミ、リオウに気付き慌てて立ち上がるも、勢い付きすぎて大げさに地面に伏してしまう。
ナナミ
「あ!あ!あああああああ!!!!!
 リオウ!!!!!!」
リオウ
「帰ったよ」
「ただいま」 ←
リオウ、ナナミへと一歩踏み出す。
ナナミ、リオウへと駆け押し倒し、胸倉を掴み振り回す。
ナナミ
「だいじょうぶ?だいじょうぶ?
 ケガはなかった?今までどこにいたの?
 隊が全滅したって本当?
 ね?ね?ね?」
ナナミ、掴む手を離す。
リオウ、勢いのまま頭を地に打ち付ける。
ナナミ、リオウに圧し掛かったまま安心したように息を吐く。
ナナミ
「よかった、よかったぁ、
 お姉ちゃん、とっても、とっても
 心配したんだから。」
リオウ、頭を押さえながら起き上がる。
ナナミ、膝付いてリオウを覗き込む。
ナナミ
「本当にだいじょうぶ?
 途中で変なもの食べてない?」
ナナミ、リオウの胸倉を掴み揺する。
ナナミ
「ね?ね?都市同盟のスパイがいたって本当?
 それで隊が奇襲を受けたって聞いたけど?」
ナナミ、リオウの胸倉から手を離し、人差し指を振りながら考え込む。
ナナミ
「なんでも二人組の少年だって
 でも、あちこちに立て札がでてるから
 すぐつかまるよね。」
ナナミ、リオウの膝に手を置き覗き込む。
ナナミ

「あ!そうそう、ジョウイは?
 ジョウイは無事なの?
 ね?ね?ね?

 無事?」

リオウ、安心させるように頷く。
ナナミ、目を閉じ安堵する。
ナナミ
「そう・・・・よかったぁ。
 じゃあ二人で帰ってきたんだね。」
ナナミ、何かに気付いたように身を起こす。
ナナミ
「二人?・・・・・・・・・・・・」
ナナミ
「!」
ナナミ、リオウを押し倒し胸倉を掴み揺する。
ナナミとリオウ、身を起こし膝を付き合わせしゃがみこむ。
ナナミ
「えーーーーーーーー!!うそうそ。
 リオウとジョウイが
 スパイなわけないよね。
 ね、ね、ね、そうだよね。」
ナナミ、人差し指を揺らしながら。
ナナミ
「あ・・・でも、この間ラウド隊長が来て
 リオウが帰ったられんらくしろって
 言ってたから・・・・・・」
ナナミ、立ち上がる。
ナナミ
「逃げよう!リオウ」
リオウ、差し出された手を取り立ち上がる。
ナナミ
「だいじょうぶ、
 リオウが何をしたって
 このわたしだけは味方だからね!」
ナナミ、リオウに向き直る。
ナナミ
「さぁ行くよ!!」
ナナミ、リオウを引きずり歩き出す。
ナナミ、道場へと入るところで気付いたように勢いよく振り返る。
リオウ、反動で後ろの岩場へと身体を打ち付ける。
リオウ、岩場に身体の凹み跡を残しながらずり落ちる。
ナナミ
「あ!
 ちょっと待って。」
リオウ、頭を左右に振りながら起き上がる。
ナナミ、リオウを引きずり戻る。
ナナミ
「忘れ物、忘れ物、こっちこっち!
 リオウ!」
ナナミとリオウ、ゲンカクの墓の前に立つ。
ナナミ
「ほら、ほら、
 ゲンカクじいちゃんにさよなら言わないと。」
リオウ、しゃがみ込み手を合わせる。
ナナミ

「うん。

 じゃあ、わたしも。」

ナナミ、しゃがみ込み手を合わせる。
ナナミ
「ゲンカクじいちゃん、
 もうここには戻ってこれないかもしれないけど、
 リオウとわたしのこと、
 目いっぱい守ってね。おねがいよ。」
ナナミ、立ち上がる。
ナナミ
「うん。これでよし。
 さあ、行こう!!!」
リオウ、立ち上がりナナミへと向き直る。
──道場 中央
壷が三種ある。
ナナミ
「あ、そうだ!
 このつぼをどれか一つ持っていこうよ!
 たぶん、高くうれるわよ!!
 逃亡資金ね。」
リオウ
「大きいつぼを持っていく」
「ふつうのつぼを持っていく」 ←
「小さいつぼを持っていく」
[ ?つぼを手に入れた ]
ナナミ
「うん、じゃあこれね!
 残りは重いから
 おいていくね。」
──道場 入り口
リオウ、気付いたように立ち止まる。
兵士らが行く手を阻んでいる。
ナナミ
「え!え!え!
 うそ、うそ、うそ。」
兵士の一人、一歩前へ。
王国軍兵士
「リオウだな。
 おまえを都市同盟のスパイとして
 捕らえる。
 おとなしくするんだ。」
ナナミ、飛び上がって抗議。
ナナミ

「だめ!つかまったりしないもん。

 リオウ、かまえて。
 じいちゃんの教え通りにやったら
 負けるはずないよ。」

ナナミ、三節棍を構える。
リオウ、トンファーを回転させ構える。
戦闘開始。
ナナミ、膝を付き荒く息を吐いている。
ナナミ

「ハァ、ハァ、ハァ、

 リオウ!!
 ハァ、ハァ、息があがってるんじゃない?
 トレーニングさぼっちゃだめよ。」

そこへ、ラウドが現れる。
ナナミ、気付いて立ち上がる。
ラウド
「ひさしぶりだリオウ。
 あまりてこずらせないでくれないかな、
 隊長と部下のよしみで。」
リオウ
「隊長・・・・なぜ・・・・・」 ←
ラウド

「いろいろとあるんだよ。
 大人の世界はな。

 おい、連れて行け!!」

リオウとナナミ、王国兵に囲まれる。
ナナミ
「えーーーー、やだ、やだ、やだ
 はなしてーーー、
 きたない手でさわらないでーーー」
「いやだ!!!」 ←
ラウド
「しかたないな。
 少々、あらっぽいぞ!!」
戦闘開始。
ラウド

「てこずらせるなと言ったはずだ。

 おい、連れて行け!!」

リオウとナナミ、王国兵に囲まれる。
暗転。
──アトレイド家
ジョウイ、父へと一歩踏み出す。
ジョウイ

「それでは・・・

 それでは、このぼくを
 信用してはくれないんですね・・・・・・」

マルセル
「そうだ。おまえは不肖の息子だったが、
 それも今日かぎりだ。
 おまえは、もはやアトレイド家の人間ではない。」
ジョウイ、一歩踏み出すも兵士に阻まれる。
ジョウイ
「なぜ・・・・なぜぼくを・・・・
 信じてはくれないのですか・・・・・・・
 ぼくは・・あなたたちの家族ではないのですか・・
 それとも・・この身に流れる血が・・・・・・」
マルセル
「見苦しいぞ、ジョウイ。
 罪にその手をそめた者を、
 アトレイド家の人間として
 認めるわけにはいかない。」
ジョウイ、後ずさる。
ジョウイ
「・・・・・・・・・・・・・・」
兵士、ジョウイを囲む。
王国軍兵士
「さあ、来るんだ。」
ジョウイ、拘束から逃れようと身を捩る。
マルコ
「さよなら、兄さん。
 いや、もう兄さんじゃなかったんだ、
 ジョウイさん。」
ジョウイ
「おねがいです!!
 母さんに・・・これが最後でいい!!
 母さんに会わせてください!」
マルセル
「ローザは、おまえに会いたくないと
 言っていたよ・・・・・」
ジョウイ

「うそだ・・・・

 うそだ!!

 やめろ!!はなせ!!!!
 母さんに・・・・」

ジョウイ、抵抗も空しく王国兵に連れられて行く。
暗転。
──牢屋
リオウとナナミが居る牢に、ジョウイも入れられる。
リオウとナナミ、ジョウイの元へ。
ジョウイ
「っつ・・・
 リオウ、ナナミ・・・
 そっちもつかまったのか?」
ナナミ
「がんばったんだけどね・・・・・
 でも、どうしてスパイだなんてことに
 なっちゃったの?」
ナナミ、リオウへと向き直る。
そこへラウドの声が。
ラウド
「教えてやるよ。」
ラウド、牢の前へ。
ジョウイ
「隊長・・・・・・・・」
ラウド
「しかし、あの急流にのまれて
 よく生きていたもんだな。」
ジョウイ、一歩前へ。
ジョウイ
「なぜ、ぼくたちを・・・・
 都市同盟の奇襲というのは・・・・・
 それにあの男は?」
ラウド
「すまんな、リオウ、ジョウイ。
 あの方・・・・ハイランド王国の皇子
 ルカ・ブライトさまには、大きな野望があるのさ。
 それにな、おれにもちょっとした野望がある。」
ナナミ
「皇子さま??」
ジョウイ
「王家の人間がなぜ・・・・」
ラウド

「ルカさまの野望のために
 生けにえが必要だったんだよ。

 都市同盟の奇襲によって、
 少年兵でつくられた王国の部隊が全滅。
 この知らせは、王国の民の怒りをあおるのに
 じゅうぶんだったわけさ。

 どうだい、おじょうちゃん、
 都市同盟ってのは
 ひどいやつらだと思わないか?」

ナナミ

「そ、そりゃぁ・・・・・
 リオウやジョウイが都市同盟に、
 って思ったらゆるせないと思うけど・・・・

 でも・・・それは知らなかったから・・・・」

ラウド

「その通りさ。
 バレなきゃウソも真実になる。

 ルカさまが目的をはたすためには、
 戦乱が必要なんだ。

 そして、おれにも大きな目的がある。
 こんないなかの少年兵の隊長じゃなく、
 もっと金の入る地位という目的がな。

 そのためには、おまえらには
 にくむべきスパイとして死んで
 もらわなければならん。
 本当のことは、そのむねにしまったままな。」

ナナミ
「そんな、そんな、
 そんなバカなことってないよ!」
ジョウイ、一歩前へ。
ジョウイ
「そんな・・・・そんなことのために、
 仲間を・・・・みんなの命をうばって・・・・・」
ジョウイ、後ずさる。
ラウド

「すまんな・・・・・・
 今のおれにはそれしか言えんよ。

 さぁ、そろそろ時間だ。」

王国軍兵士
「ラウド隊長。
 準備が全てととのいました。」
ラウド
「じゃあな、お二人さん。
 めんどうな裁判はサービスしといてやるよ。
 そっちのおじょうちゃんも、
 日取りがちがうとはいえ、いずれ同じ運命だ。」
ジョウイ
「・・・・・・ちくしょう・・・・
 ・・・ゆるせない・・・・・・・・」
暗転。
リオウとジョウイ、後ろ手に縛られ兵士に囲まれ街中を歩いている。
向かいから王家の馬車がやって来る。
ジル、馬車から顔を覗かせる。
ジル
「なんのさわぎですか?あれは。」
御者
「なんでも、都市同盟のスパイが
 つかまったとかで、これから
 しょけい場へ引き立てられるようです。」
ジル
「そう。」
リオウとジョウイ、兵士に囲まれ再び歩き出す。
兵士ら、ジルへと敬礼。
ジル、捕らわれている二人を覗き込む。
ジル

「まだ・・・子供じゃない・・・・

 なにゆえにスパイなど・・・・・・・」

リオウ
「ぼくは無実だ!」 ←
御者
「なにを言うか!!
 このうすぎたない裏切り者が!
 おまえらのせいで、どれだけの命が・・・・」
ジル、御者へと向き直り制する。
ジル
「おやめなさい。」
御者
「皇女さま・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」 ←
ジョウイ
「・・・・・・・・・
 ・・・あなたにそれを問う権利があるのですか?」
御者
「貴様、この方はブライト王家の
 ジル皇女さま・・・」
ジル、御者へと向き直り制する。
ジル
「やめなさい。」
ジョウイ

「皇女?

 では、おぼえておいて下さい・・・
 ぼくとリオウは、
 この国をうらぎってなどはいません。

 この国がぼくらをうらぎったんです。
 そのことをぼくはゆるさない。
 決して・・・・・」

御者
「なんてことを!!
 きさま!!!誰にむかって言っていると・・・」
ジル、御者へと向き直り制する。
ジル
「いいのよ。行かせてあげなさい。
 どうせ、あとしばらくの命なのでしょう・・・」
ジル、馬車内へと居住まいを正す。
御者、白馬に鞭打ち馬車を進ませる。
暗転。
──処刑場
夕日射す中、首に縄を掛けられたリオウとジョウイが兵士に鞭打たれている。
ラウド

「ほこりたかきハイランド王国軍、ユニコーン隊に
 ありながら、いやしい都市同盟に通じ、
 栄光ある我が軍の名に泥をぬった二人の
 しょけいをはじめる。

 言い残すことはあるか?」

リオウ
「そんなものはないよ」 ←
「・・・・・・・キザ」
ジョウイ
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ラウド

「そうか、そうか。
 かんねんしたか。

 ん?見てみな夕日だ。
 あれがおまえたちには最後の夕日さ。」

ラウド、夕日へと目を向ける。
ラウド

「まあ、おれにとっちゃあ、
 なんのへんてつもない夕日だ。

 この日をさかいに出世街道まっしぐらかと思うと
 感じるものはあるがな。

 まったくどういうわけだか、こんないなか町の
 ガキばっかりの部隊の子守り役。
 我が身の不幸をなげいたが、
 神様ってのはいるんだな。

 これを足がかりにしてあとは
 トントンびょうしに出世して
 ゆくゆくは近衛隊長あたりの
 地位をつかんで・・・・・・

 ん?」

ラウドが気付いて周囲を見回すと、兵士らが全員倒れ伏している。
処刑台の上にフリックの姿が。
フリック
「ざんねんだが、出世街道はあきらめな。」
フリック、一閃二閃しリオウとジョウイの縄を切る。
ラウド
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ラウドの背後からビクトールが現れる。
ビクトール

「へっへっへっへ、やっと追いついたぜ。
 正義の味方、
 ただいま参上ってところかぁ?

 まったく、勝手に出て行きやがって、
 おどろいたぜ。」

ラウド、ビクトールへと向き直り後ずさる。
ジョウイ
「なぜ・・・・」
ラウド、ジョウイへと向き直る。
ビクトール
「あーーーーん?言いっこなしだぜ。
 おまえらは、おれがつかまえたほりょだからな、
 そうかんたんに命をおとしてもらっちゃこまる。」
ラウド、ビクトールへと向き直る。
フリック
「こいつは、おせっかいなんだよ。」
ラウド、フリックへと向き直り後ずさる。
ビクトール
「まぁな。
 ポールのやつにも泣き付かれたからな。」
ラウド、逃げ出す。
ビクトール
「あ!待ちやがれ!!」
ビクトール、慌てて後を追うもまんまと逃げられてしまう。
ビクトール
「ちきしょう逃げられた。
 こっちも早いところずらかるぞ。」
ジョウイ
「ま、待ってください。
 ナナミが・・・・友達が
 牢につかまっているんです。
 見すてては行けません。」
リオウ
「ナナミをたすけに行こう」 ←
ジョウイ、リオウへと向き直る。
ジョウイ
「とうぜんだリオウ。」
ビクトール
「なーーるほど。
 面白そうだ。
 最近、身体がなまりぎみだからな。」
フリック
「しかたないヤツだな。
 やっかいごとに、はなをつっこむのは、
 おまえの悪いクセだぜ。」
暗転。
──王国軍敷地 前
ビクトール
「ようし、フリック、ジョウイ、
 リオウ、
 いくぞ!!」
フリック
「おまえが仕切るなよ。」
一同、中へ。
ナナミ、兵士らに行く手を遮られている。
ナナミ、飛び上がって叫ぶ。
ナナミ
「もう!どけ!どけ!どっけーーー!!
 急いでるんだからぁ!!
 リオウとジョウイを
 助けるんだぁ!!!」
ナナミ、兵士らを一撃の下に倒し、駆けて行く。
一同、引き攣りながら様子を見守る。
ナナミ、更に行く手を阻む兵士へと叫ぶ。
ナナミ
「もぉぉ、おこった!!
 ゲンカクじいちゃん直伝!
 奥義!花鳥風月百花繚乱竜虎万歳拳を
 くらわすわよ!!」
ナナミ、三節棍を構える。
王国軍兵士
「な、なんだそりゃ・・・・
 ま、待て・・・・・・・・・・・・
 ひ、ひぃーーーーー」
兵士ら、慌てて逃げ出す。
ナナミ、構えを解く。
ナナミ
「よーーし、
 待っててリオウ、ジョウイ、
 いますぐ助けにいくからね。」
ナナミ、逃げ出す兵士らを追い掛ける。
一同の前を駆け去ったあと、後ろ歩きで戻りリオウの元へ。
ナナミ
「ちょっと、ちょっと、ちょっと、
 リオウとジョウイ、
 ここで何してるの??
 しょけい場へ行ったんじゃないの??」
ジョウイ
「助けに・・・いちおう・・・・・」
ナナミ
「あれ?あれ?ぐうぜんだね。
 わたしもリオウたちを
 助けに行くところだったんだよ。」
ジョウイ
「ところで、さっきの奥義って・・・・」
ナナミ、慌てる。
ナナミ

「え???
 あ! 気にしない、気にしない。

 それより、逃げるんでしょう。」

「早く逃げよう」 ←
ジョウイ、リオウへと向き直る。
ジョウイ
「ちょ、ちょっと待てよリオウ、
 ナナミをおいていくのかい?」
リオウ
「ナナミをたすけに行こう」
「早く逃げよう」 ←
ジョウイ
「そんな・・・ナナミはきみの義姉じゃないか。
 じょうだんだろリオウ。」
リオウ
「ナナミをたすけに行こう」
「早く逃げよう」 ←
ジョウイ
「わかったよ・・・・
 ・・・・・・行こう・・・・」
暗転。
──ラウドの家
少女
「あ・・・・リオウさんと・・・・・
 ジョウイさんね・・・・・・・・・・・・
 お兄ちゃんは、まだもどってこれないの?」
──民家 前
女性A
「あら、あなたたち・・・・
 どこかで、見おぼえが・・・・・・・
 この街の子?」
女性B

「ねぇ!!!あなた、聞いた?
 れいのアトレイド家のぼっちゃんが
 つかまったそうよ。
 なんでも、父親につきだされたとかで・・・・

 でも、しかたないわよね・・・・・
 スパイなんかして・・・・
 それに、実の子じゃないって
 ウワサもあるし・・・」

女性AB
「きゃーーー、
 こわい、こわい・・・」
──出口
ナナミ、立ち止まり一同を制する。
ナナミ
「ね、ちょっと待って。」
ナナミ、街を振り返る。
ナナミ
「リオウ、ジョウイ・・・・
 わたしたち、もう一度、
 ここにもどってこれるのかなぁ・・・」
ジョウイ
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
リオウ
「いつかは戻ってこれるさ」 ←
ナナミ
「そっか、そうだよね。
 じゃ、ちょっとだけサヨナラってことだね。」
「戻る気はない」 ←
ナナミ

「そっか、そうだよね。
 どこにいたって、わたしはナナミだし、
 リオウはリオウだし、
 ジョウイはジョウイだからね。

 でも・・・ちょっとだけさびしいな。」

ビクトール
「おい、しめっぽくしてないで
 行くぞ!!!」
一同、傭兵隊の砦へ。